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集団的自衛権の行使を認める閣議決定の断念を求める声明

6月30日の記者会見で読み上げた声明文は以下の通りです。記者会見の要旨については、後日、アップいたします。

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集団的自衛権の行使を認める閣議決定の断念を求める声明

これまでの政府の憲法9条の解釈を変更するための閣議決定が、明日にもなされようとしている。この閣議決定は、過去60年間にわたって政府が一貫して否認してきた憲法9条の下での集団的自衛権の行使を容認することを主眼とするものである。

この閣議決定においては、我が国の自衛権の発動の要件を、これまでの「我が国に対する武力攻撃が発生した」場合に限らず、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合をも加えることによって、集団的自衛権を「限定的に」容認する方向であると報じられている。

これは、従来の政府の憲法解釈との延長線上に「一部の」集団的自衛権を位置づけるものであると説明されているが、戦後の日本で憲法9条が果たしてきた役割を否定し、この国の形を大きく変えるものであると危惧する。

政府がこれまで、戦力を持たず、交戦権を認めないと定めた憲法9条2項の下でも自衛隊の存在が許され、必要最小限度の実力行使が可能であるとしてきたのは、万一、外国から我が国に対する武力攻撃が発生した場合には、国の存立が脅かされたり、国民の生命、自由といった権利が根底から覆されたりする事態に立ち至るからにほかならない。

しかし、「密接な関係にある他国」が別の他国によって武力攻撃を受けたからといって、我が国が攻撃を受けていない状況下で、上記と同様の事態が生ずる差し迫った危険を想定することはおよそ困難である。しかも、そうした事態が生じる「明白な危険」の有無が時々の政権の判断に委ねられるのであるから、この要件は、「我が国に対する武力攻撃の発生」のような一義的・客観的な基準たり得ず、これまでのように、憲法9条が我が国の海外における武力行使に対する歯止めとして機能することを期待しがたい。

外国同士の武力紛争に参加する集団的自衛権の行使は、国家の正当防衛権ともいえる個別的自衛権の行使とは全く異質であり、その一部といえども専守防衛を旨としてきた従来の政府の憲法解釈の延長線上に位置づけられるものではない。「限定的」な容認であるから平和主義が維持されているとする主張は、国民を誤解させるためのレトリックにほかならない。

集団的自衛権の行使容認は、憲法9条の規範性を否定し、大多数の国民にも信じられてきた我が国の平和主義を放擲する重大事である。このような大事を憲法の改正によることなく、一政権による恣意的な憲法解釈の変更によって実現しようとすることは、憲法に従った統治権力の行使が求められる立憲主義の否定にほかならない。

国民安保法制懇に結集した私たちは、このような暴挙に対して強い抗議の意思を表明し、集団的自衛権の行使を認める閣議決定の断念を強く求める。

以 上

 

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